初心者が学ぶ無人航空機

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乱気流(タービュランス)とは?山岳波・熱的乱流・ビル風を整理

ソラタ

「乱気流って飛行中に突然発生するもの?事前に予測できるの?」乱気流の種類と発生しやすい状況を整理します。

この記事の要点

乱気流とは気流が不規則に乱れる現象で、ドローンの姿勢制御を困難にします。発生原因は山岳・地形による機械的乱流、地面の加熱による熱的乱流(サーマル)、ビル・構造物まわりのビル風など複数あります。

乱気流は目に見えないため予測が難しく、飛行前の気象情報確認と現場での状況判断が重要です。姿勢が著しく乱れる場合は飛行を中断します。

「晴天なのに急に機体が揺れた」「建物の陰で急に制御が難しくなった」。こうした経験は乱気流が原因であることが多いです。

乱気流は雨や雷と違い目に見えないため、前もって知識として把握しておくことが大切です。

乱気流にはいくつかの種類があり、発生場所・時間帯・地形によって特徴が異なります。各タイプの特徴を知ることで、飛行前のリスク評価や飛行中断の判断がより的確になります。

一言でいうと、乱気流とは「空気の流れが乱れてドローンを揺さぶる現象」で、種類によって発生する場所や時間帯が異なります。

乱気流の定義

乱気流(タービュランス)とは、気流が不規則に変動し、機体に不規則な力が加わる現象です。空気の流れが渦巻いたり急変したりすることで、機体の姿勢・高度・速度が不規則に変化します。

ドローンは軽量であるため、乱気流の影響を受けやすい特性があります。有人航空機では「バンプ」として体感する程度の乱気流でも、ドローンには大きな姿勢変化・最悪の場合の墜落につながることがあります。

乱気流の種類と発生原因

乱気流は発生メカニズムによっていくつかの種類に分類されます。発生場所・時間帯・地形に特徴があるため、種類ごとに把握しておくことがリスク評価に役立ちます。

山岳波(さんがくは)

山岳波とは、山脈や丘などの地形に沿って発生する波状の気流です。風が山を越えると、山の風下側(背後側)で上下方向の波状気流が発生します。

項目内容
発生場所山岳・丘陵の風下側(背後)
発生条件ある程度の強さの風が山を越えるとき
特徴上昇気流と下降気流が交互に発生する波状の流れ。地表付近でも影響が出ることがある
ドローンへの影響急激な高度変化・姿勢の乱れ。地表付近では特に危険

山の近くで飛行する際は風向きを確認し、山の風下側での飛行は避けることが望ましいです。

熱的乱流(サーマル)

熱的乱流(サーマル)とは、地面が太陽光で加熱されて発生する上昇気流です。地面の温度が上がると、その上の空気が暖められて軽くなり上昇します。

項目内容
発生しやすい場所アスファルト・砂地など熱しやすい地面の上
発生しやすい時間帯晴れた日の午前中〜午後(日射が強い時間帯)
特徴局地的な上昇気流が不規則に発生。晴れた無風に見えても発生することがある
ドローンへの影響機体が不意に上昇・横ずれ。特に低高度では高度管理が難しくなる

夏の晴れた日の昼間、特に地面温度が高い場所(駐車場・アスファルト上など)での飛行は熱的乱流の発生に注意が必要です。

機械的乱流(ビル風・地形乱流)

機械的乱流とは、建物・構造物・地形が障害物となって気流を乱す現象です。風が建物や丘を回り込むときに渦が発生し、ランダムな乱流が生じます。

種類発生場所特徴
ビル風高層ビル・大型建築物の周辺・背後建物の陰で渦巻き・吹き上げ・吹き下ろしが発生。地上風が弱くてもビル周辺は強い乱流になることがある
地形乱流丘・崖・樹木の背後障害物の風下側に乱れた流れが発生
谷間の収束流山間の谷・川沿いの地形谷に沿って気流が収束・加速することがある

都市部や建物が密集した場所での飛行では、建物の配置と風向きを把握したうえで飛行経路を計画してください。

ウェークタービュランス(後流乱気流)

ウェークタービュランスとは、航空機やドローンが飛行した後に残る渦巻き状の気流(後流)です。翼やプロペラが揚力を発生させるとき、翼端・プロペラ端に渦が生じます。

有人大型機が通過した後の空域では、数分間にわたって強い渦流が残留します。ドローンが離発着する空港・ヘリポート近辺では特に注意が必要です。

また、複数機のドローンが近接して飛行する場合も後方機が前方機の後流を受けることがあります。

乱気流と飛行判断

乱気流が発生している(または発生が予想される)場合の飛行判断の考え方を以下に示します。

状況判断の目安
機体の姿勢が著しく乱れ、自動制御で安定しない即時飛行中断・帰還
周辺の草木・旗が激しく揺れている飛行前に中止または延期を検討
山の風下側・建物の背後への飛行を予定している乱気流発生を前提に経路変更を検討
夏の昼間・日射が強い状況での低高度飛行熱的乱流を考慮した高度・経路管理

飛行前に気象情報(風速・風向・天気予報)を確認し、現場で状況確認してから飛行を開始することが重要です。

乱気流が発生しやすいビル風・山岳地帯・積乱雲周辺の環境については、無人航空機の飛行の安全に関する教則(下図)で説明されています。

局地的な風と乱気流(国土交通省 無人航空機の飛行の安全に関する教則 第4版 p.73):ビル風・山岳気流の乱れ・ダウンバーストが乱気流の主な発生源
出所:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則 第4版」(2026年2月)p.73 乱気流が発生しやすい環境:ビル風(高層ビル周囲の剥離流・吹き降ろし・逆流)、山岳地帯の風下(気流の乱れ)、積乱雲周辺のダウンバースト(直径数百m〜10kmの強下降流)などが無人航空機の飛行に影響する乱気流の主な発生源。

学科試験で混同しやすいポイント

乱気流と突風は似て非なるものです。突風は瞬間的・局地的な強風の変動ですが、乱気流はより広範囲・継続的な気流の乱れです。

また、熱的乱流(サーマル)は「晴れた日に発生しやすい」という点が試験で問われることがあります。

混同しやすい用語

乱気流(タービュランス):気流が不規則に乱れる現象。比較的広範囲・継続的。

山岳波・熱的乱流・機械的乱流など複数の原因がある。

突風(ガスト):瞬間的・局地的な強風の急変。平均風速に比べて瞬間的に風速が大きく増加する現象。

乱気流より短時間・局地的。

山岳波:山脈や丘の風下側に発生する波状の上下流。山岳地帯での飛行で特に注意が必要。

サーマル(熱的乱流):地面加熱による局地的な上昇気流。晴天の昼間・熱しやすい地面の上で発生しやすい。

学科試験対策|管理人の一言

乱気流の種類(山岳波・熱的乱流・機械的乱流)と発生場所・条件の組み合わせが問われます。「サーマルは晴天の昼間・熱しやすい地面の上」「ビル風は建物背後の乱流」「山岳波は山の風下側」という対応関係を整理しておきましょう。

また、乱気流と突風の違いも押さえておくと安心です。

一問一答

Q1. 熱的乱流(サーマル)が発生しやすい条件を答えよ。

A1. 晴れた日の日射が強い時間帯(昼間)に、アスファルトや砂地など熱しやすい地面の上で発生しやすい。

Q2. ビル風とはどのような現象か。

A2. 高層ビルや大型構造物の周辺・背後で発生する機械的乱流。建物が気流を乱すことで渦巻き・吹き上げ・吹き下ろしが生じる現象。

Q3. 乱気流と突風の違いを答えよ。

A3. 突風は瞬間的・局地的な強風の急変。乱気流はより広範囲・継続的な気流の乱れ。

発生規模と継続時間が異なる。

まとめ

乱気流は目に見えないため対処が難しいですが、発生原因と発生しやすい条件を知ることでリスク評価ができます。山岳波は山の風下側、熱的乱流は晴天の昼間、ビル風は建物背後というパターンを覚えておきましょう。

機体の姿勢が著しく乱れる場合は飛行を中断することが安全運航の基本です。

関連記事:風速リスクとドローン飛行の関係 海陸風・山谷風・ダウンバーストとは

参考資料

・無人航空機の飛行の安全に関する教則(国土交通省 第4版)

・気象業務法(昭和27年法律第165号)

・気象庁 航空気象情報

この記事を書いた人

ソラタ

30代。二等無人航空機操縦士の技能証明取得を目指して勉強中。学科試験で詰まったポイントを整理してお伝えします。