ソラタ
「室内でGPSが使えない環境でもドローンが止まって飛べるのはなぜ?」ビジョンポジショニングの仕組みとGNSSとの違いを整理します。
この記事の要点
ビジョンポジショニングとは、下向きカメラで地面のテクスチャ(模様・凹凸)を連続撮影し、画像間の変化量(光学フロー)から機体の移動量を推定して位置保持を行う機能です。GNSSが受信できない屋内・地下・橋梁下などで位置保持飛行を可能にします。
ただし地面に模様がない場合や暗所では機能しません。
ビジョンポジショニング(Visual Positioning System:VPS)は、機体底部に搭載した下向きカメラと超音波センサーを組み合わせ、地面の模様・テクスチャを連続的に読み取ることで機体の位置を推定・保持する機能です。
連続する画像の変化量から移動速度・方向を計算する技術を光学フロー(オプティカルフロー)といいます。
| センサー | 役割 |
|---|---|
| 下向きカメラ | 地面のテクスチャを連続撮影し、画像間の変化から水平方向の移動量を計算 |
| 超音波センサー | 地面までの距離(高度)を計測し、高度保持を補助 |
| IMU(慣性計測装置) | 加速度・角速度を計測し、カメラ情報と組み合わせて精度を高める |
ビジョンポジショニングで使用する超音波センサー・高度センサーを含む搭載デバイスの種類と機能については、無人航空機の飛行の安全に関する教則(下図)でも一覧として示されています。
| 比較項目 | GNSSによる位置保持 | ビジョンポジショニング |
|---|---|---|
| 使用できる環境 | 屋外・衛星受信可能な場所 | 屋内・橋梁下・GNSSが届かない場所 |
| 精度 | 通常±1〜2m(RTKなら±cm) | 低高度で良好、高度が上がると低下 |
| 苦手な状況 | 建物密集地・屋内・遮蔽環境 | 暗所・単色の床・高度3〜4m以上 |
以下の環境ではビジョンポジショニングが正常に動作せず、ATTIモードに近い状態になる場合があります。
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 暗所・照明不足 | カメラが地面の模様を認識できない |
| テクスチャのない床(白い床・水面) | 画像間の変化点が検出できず移動量計算ができない |
| 高高度(機種により3〜4m以上) | カメラの分解能が下がり特徴点が少なくなる |
| 速い移動 | 画像変化が激しすぎて追従できない |
混同しやすい用語
ビジョンポジショニング:下向きカメラで地面の模様を読み取り水平位置を保持する機能。室内・低高度で有効。
GNSSモード(GPSホールド):衛星測位で位置を保持するモード。屋外・衛星受信可能な場所で有効。
ATTIモード:GNSSもビジョンポジショニングも使わず、姿勢制御のみで飛行するモード。位置は保持しない。
光学フロー:連続する画像の変化量から移動速度・方向を算出する技術。ビジョンポジショニングの核心技術。
Q1. ビジョンポジショニングとは何か。
A1. 下向きカメラで地面の模様を連続撮影し、画像変化(光学フロー)から移動量を推定して位置保持を行う機能。
Q2. ビジョンポジショニングが機能しない状況を2つ答えよ。
A2. ①照明不足・暗所 ②テクスチャのない単色の床(白い床・水面など)。
ビジョンポジショニングは下向きカメラと光学フロー技術でGNSSなしに位置保持を可能にする機能です。屋内・橋梁下などGNSSが届かない環境で活躍しますが、暗所・単色床・高高度では機能しないため、飛行環境に応じた使い分けが必要です。
関連記事:GPSホールドモードとは? GNSSが使えないときどうする?ATTIモードとは フライトコントローラーとセンサーとは?
参考資料
・無人航空機の飛行の安全に関する教則(国土交通省 第4版)
・無人航空機操縦者技能証明に係る学科試験の科目について(国土交通省)
※ この記事の制度確認日:2026年5月
学科試験対策|管理人の一言
「ビジョンポジショニング=下向きカメラで地面を読む位置保持」「GNSS不要だが暗所・白い床では機能しない」という特徴と限界を対比で覚えましょう。GNSSモード→ビジョンポジショニング→ATTIモードという「使えるセンサーが減るほど操縦難易度が上がる」という構造と結びつけると理解が深まります。