ソラタ
「コンパスのキャリブレーションって毎回やらないといけないの?どこでやる必要がある?」磁気センサーの調整が必要な場面と理由を整理します。
この記事の要点
コンパスキャリブレーションとは、機体の磁気コンパスセンサーをその場所の地磁気に合わせて較正する作業です。飛行前の重要なチェック項目のひとつです。
場所を大きく移動したとき・近くに金属や電磁波の発生源があるとき・磁気異常を示す警告が出たときに必要です。キャリブレーションを怠ると自動飛行の誤動作につながる危険があります。
ドローンのアプリやコントローラーに「コンパスキャリブレーションを実施してください」と表示されたことはありますか?初心者のうちは何のためにやるのか分からないまま手順だけ覚えてしまいがちです。しかし、この作業の意味を理解しておくと、どんな場面で必要か・なぜ失敗するかが自然と頭に入ります。
学科試験でも「キャリブレーションが必要な状況」「やってはいけない場所」「失敗した場合のリスク」は頻出テーマです。仕組みから整理していきましょう。
ザックリ言うと、コンパスキャリブレーションは「新しい土地でスマホのコンパスアプリを使う前に8の字を描いて調整する」あの作業と同じ原理です。ドローンも場所が変わったら、その土地の地磁気に合わせ直す必要があります。
ドローンに搭載されている磁気コンパス(地磁気センサー)は、地球の磁場(地磁気)を検出して機体の向いている方位を計算するセンサーです。フライトコントローラーはこの方位情報をもとに自動飛行・ホバリング・リターントゥホーム(RTH)などを制御します。
地磁気の強さや方向は場所によって微妙に異なります。また、機体の周囲にある金属部品や電子部品も磁場に影響を与えます。
そのため、センサーは「その場所・その機体の状態」に合わせた較正が必要になります。これがコンパスキャリブレーションです。
すべての飛行前にキャリブレーションが必要なわけではありませんが、以下の状況では実施が推奨または必要とされます。
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 前回の飛行地点から遠距離移動後 | 地磁気の強さ・方向が変わるため |
| コントローラー・アプリにアラートが表示されたとき | 機体が磁気異常を検知しているため |
| 金属構造物・橋・鉄骨の近くで飛行予定のとき | 周囲の金属が地磁気を歪める可能性があるため |
| 機体のパーツを交換・修理した後 | 機体内部の磁場バランスが変化する可能性があるため |
| 長期間飛行していなかった後 | 保管中の環境変化による影響を排除するため |
地磁気センサーの役割と磁気キャリブレーションの必要性については、無人航空機の飛行の安全に関する教則(下図)で説明されています。
機種によって細かい手順は異なりますが、一般的な流れは以下の通りです。専用アプリや送信機の操作でキャリブレーションモードを起動し、機体を指定の方向に回転させます。
※ 手順は機種によって異なります。必ずご使用の機体のマニュアルを確認してください。
キャリブレーションが正しく行われていない状態で飛行すると、コンパスが誤った方位を計算します。その結果、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
これらは「コンパスエラー」として事故報告に多く見られるトラブルです。コンパスキャリブレーションは面倒でも省略してはいけない作業です。
キャリブレーションは地磁気を正確に測定する作業です。以下の場所では正確なキャリブレーションができず、かえって危険です。
| NGな場所 | 理由 |
|---|---|
| 金属製の建物・車・フェンスの近く | 金属が地磁気を乱す |
| 高圧線・変電所の近く | 強い電磁場が地磁気を歪める |
| コンクリートの上(鉄筋入り) | 鉄筋が磁場に影響する |
| スマホや磁石を持ちながらの作業 | 手持ちの磁気発生源が干渉する |
キャリブレーションはできるだけ開けた土地・金属物のない平坦な場所で行うのが基本です。
「コンパスキャリブレーション」と「IMUキャリブレーション」は名称が似ていますが、まったく別の作業です。試験では「どちらが何のためのキャリブレーションか」を区別できることが求められます。
混同しやすい用語
コンパスキャリブレーション:磁気コンパスセンサーをその場所の地磁気に合わせて較正する作業。移動後や磁気異常アラート時に必要。
機体を水平・垂直に回転させる。
IMUキャリブレーション:加速度センサー・ジャイロスコープなどの慣性計測ユニット(IMU)を較正する作業。機体を水平な面に静置して行う。
コンパスとは別のセンサーが対象。
Q1. コンパスキャリブレーションはどのような目的で行いますか?
A1. 機体の磁気コンパスセンサーを、飛行する場所の地磁気に合わせて較正するためです。正確な方位検出を維持し、自動飛行の安全性を確保します。
Q2. コンパスキャリブレーションをやってはいけない場所を2つ挙げてください。
A2. 金属製の建物・フェンスなどの近く(金属が磁場を乱すため)と、高圧線・変電所の近く(強い電磁場が地磁気を歪めるため)です。
Q3. コンパスキャリブレーションが不十分な状態で飛行した場合、どのようなリスクがありますか?
A3. 方位を誤検知し、自動飛行で意図しない方向へ進む・RTHが正しく機能しない・テールスピン(機体が回り続ける)などのトラブルが起きる可能性があります。
コンパスキャリブレーションは、磁気コンパスセンサーをその場所の地磁気に合わせる重要な作業です。遠距離移動後・磁気警告アラート時・金属構造物の近くでの飛行前には必ず実施します。
金属の上や高圧線の下では正確なキャリブレーションができません。IMUキャリブレーションとは別の作業であることも試験でよく問われます。
参考資料
・電波法(昭和25年法律第131号)
・無人航空機の飛行の安全に関する教則(国土交通省 第4版)
・総務省 電波利用ホームページ
※ この記事の制度確認日:2026年5月
学科試験対策|管理人の一言
「コンパスキャリブレーションが必要な場面」を問う問題では、「遠距離移動後」「金属構造物の近く」「警告が出たとき」の3パターンを押さえておけば対応できます。「やってはいけない場所」の問題では「金属の上・高圧線の下」を即答できるようにしましょう。
IMUキャリブレーションとの違いは「どのセンサーを較正するか」で整理するとすっきりします。