初心者が学ぶ無人航空機

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赤外線点検とは?太陽光パネル・外壁点検でのサーモカメラ活用を整理

ソラタ

「赤外線点検って熱を見るってこと?普通のカメラと何が違うの?」熱画像による点検の仕組みと目視点検との違いを整理します。

この記事の要点

赤外線点検とはサーモグラフィカメラ(熱画像カメラ)で対象物の温度分布を可視化し、異常を検出する点検方法。ドローンに搭載したサーモカメラで太陽光パネルのセル異常や建物外壁の剥離・漏水を効率的に発見できる。

晴天・午前中・風が弱い時間帯が赤外線点検に最適な条件。曇天・強風・夜間では精度が低下する。

建物外壁や太陽光パネルの異常を発見するために、近年注目されているのが赤外線点検(サーモグラフィ点検)です。サーモグラフィカメラ(熱画像カメラ)を搭載したドローンを使うことで、高所や広面積の対象物を人が足場を組まずに効率よく点検できます。

赤外線点検の原理は、物体が放射する赤外線(熱エネルギー)の量が温度によって異なることを利用し、温度分布を色の違いで可視化するものです。異常部位は周辺と温度が異なるため、熱画像上で「熱い点(ホットスポット)」や「冷たい点(コールドスポット)」として現れます。

簡単に言えば、赤外線点検は「物の表面をサーモカメラで撮影して、温度が違う場所=異常の可能性がある場所を見つける方法」です。太陽光パネルで壊れたセルは熱くなり、外壁の剥がれかけた部分は温まり方が違うため、熱画像でわかります。

赤外線点検の原理

すべての物体は温度に応じた赤外線(熱放射)を放出しています。サーモグラフィカメラは可視光を使わず、対象物から放出される赤外線の強度を検出して温度分布を画像化します。

温度と赤外線の関係内容
温度が高い部位強い赤外線を放出→熱画像で「暖色(赤・橙)」で表示
温度が低い部位弱い赤外線を放出→熱画像で「寒色(青・紫)」で表示
異常部位周囲と温度が異なる→熱画像で色の異常として現れる

赤外線点検では、この温度差(熱コントラスト)を利用して肉眼では見えない内部の損傷・欠陥・異常を非破壊で検出できます。

ドローン赤外線点検の主な活用場面

太陽光パネル点検(ホットスポット検出)

太陽光パネル(太陽電池)点検は赤外線点検が最も広く使われる分野の一つです。

不良の種類熱画像での現れ方原因
セル異常(ホットスポット)一部のセルが周囲より高温に見えるセルのクラック・汚れ・異物付着
バイパスダイオード異常ストリング単位で温度上昇が見られるダイオードの故障
パネル間の温度差隣接パネルより全体的に温度が高い電気的接続不良・内部短絡
汚れ・鳥の糞付着汚れ部分が周囲と温度差を示す発電効率の低下

ドローンに搭載したサーモカメラで、数百枚〜数千枚のパネルを短時間で撮影・解析できます。従来の目視点検や地上からの点検と比べて、点検時間・コスト・人員を大幅に削減できます。

太陽光パネルの赤外線点検にはJIS規格(JIS C 8991)が整備されています(詳細は最新規格でご確認ください)。

外壁点検(剥離・漏水箇所の推定)

建物の外壁点検(タイル・モルタル等の浮き・剥離の検出)でも赤外線点検が活用されています。

異常の種類熱画像での現れ方メカニズム
外壁タイル・モルタルの浮き・剥離浮き部分が周囲より高温(または低温)に見える空気層の断熱効果で昇温・降温の速度が違う
漏水・雨漏り水分を含む部分が周囲より低温に見える(蒸発冷却)水の蒸発冷却効果
断熱材欠損欠損部が周囲と温度差を示す断熱効果の違い

外壁の赤外線点検は「建築基準法に基づく定期報告制度」での活用が増えています(詳細は最新の行政通知でご確認ください)。ドローンを使うことで足場なしに高層建物の外壁を効率よく点検できるようになりました。

ドローン搭載のメリット(高所・広面積を効率点検)

ドローンにサーモカメラを搭載することで、従来の点検方法と比べて多くのメリットがあります。

メリット従来手法との比較
足場不要外壁点検の仮設足場が不要→コスト・工期削減
高所点検が容易高層ビル・橋梁・煙突なども安全に点検可能
広面積を短時間で点検大規模太陽光発電所を数時間で全数点検可能
作業員の危険が軽減高所作業・危険箇所への人の立入りが不要
デジタル記録・比較熱画像を記録・蓄積して経年変化の比較が可能

ドローンに搭載される各種センサーの種類と機能は、教則第4版(下図)でも一覧として示されています。

無人航空機に搭載される主なデバイス一覧(国土交通省 無人航空機の飛行の安全に関する教則 第4版 p.42):搭載センサーの種類と機能。赤外線カメラ・サーモカメラの活用基盤
出所:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則 第4版」(2026年2月)p.42 赤外線点検とドローン搭載センサー:無人航空機には可視光カメラのほか、高度センサ(レーザー等)・地磁気センサ等の各種デバイスが搭載される。赤外線点検(サーモグラフィー)ではこれらに加えてサーモカメラを搭載し、太陽光パネルの発電不良・外壁の剥離・設備の熱異常を非接触で検出する。

赤外線点検の限界(天候・太陽光条件による精度変化)

赤外線点検には天候・時間帯・環境条件による精度変化という限界があります。

条件点検への影響
曇天・雨天太陽光による加熱が不足→温度差が生じにくい→精度低下
強風対流による冷却で温度差が消える→異常部位を検出しにくい
夜間(日没後)熱が放散して温度差が少なくなる→精度低下(ただし一部の点検では有効)
反射の影響太陽・空の熱が対象面に反射→温度の誤読が生じる可能性
センサーの感度安価なサーモカメラは分解能・感度が低い→細かい異常を見逃す可能性

点検時の最適条件

赤外線点検の精度を最大化するための最適な条件は以下のとおりです。

条件項目推奨条件理由
天候晴天(快晴〜薄曇り)十分な日射で対象物が加熱され温度差が生じやすい
時間帯午前中〜日中(太陽高度が高い時間帯)日射量が多く対象物の昇温が十分
風速弱風(概ね3m/s以下が目安)風による冷却で温度差が消えるのを防ぐ
前日の天候晴天が続いた後前日の雨で濡れた外壁は蒸発冷却の影響を受ける

「晴天・日中・弱風」がドローン赤外線点検の基本的な実施条件です(詳細は点検対象の種類や基準によって異なります。各点検規格・基準書でご確認ください)。

学科試験で混同しやすいポイント

学科試験では「赤外線カメラとRGBカメラの違い」が問われる場合があります。RGBカメラ(通常のデジタルカメラ)は可視光を撮影するのに対し、赤外線カメラは物体が放出する赤外線(熱)を撮影します。

また「赤外線点検が有効な天気条件(晴天・弱風)」と「精度が落ちる条件(曇天・強風)」の対比も確認しておきましょう。

混同しやすい用語

赤外線カメラ(サーモグラフィカメラ):物体が放射する赤外線(熱放射)を検出して温度分布を画像化するカメラ。可視光は撮影しない。

物体の内部異常・温度差を非破壊で検出できる。

RGBカメラ(通常のデジタルカメラ):可視光(赤・緑・青の3色の光)を撮影するカメラ。通常の写真撮影・測量・ビジュアルドキュメントに使用。

温度情報は取得できない。

学科試験対策|管理人の一言

「赤外線点検は温度差を利用して異常を発見する非破壊検査」という基本定義と、「晴天・日中・弱風が最適条件」という点をセットで覚えてください。太陽光パネル点検では「ホットスポット(高温部分)=セル異常」、外壁点検では「温度差=浮き・剥離・漏水の可能性」という対応関係も理解しておきましょう。

「曇天・強風・夜間では精度が落ちる」という点も試験に出やすい内容です。

一問一答

Q1. 赤外線点検で使用するカメラの種類と、撮影するものは何か?

A1. サーモグラフィカメラ(熱画像カメラ)。可視光ではなく、物体が放射する赤外線(熱放射)を撮影して温度分布を画像化する。

Q2. 太陽光パネルの赤外線点検でホットスポットが検出された場合、何が原因として考えられるか?

A2. セルのクラック・汚れ・異物付着・バイパスダイオードの故障など。不良のセルは正常に発電できず、電流が熱エネルギーに変換されて温度が上昇する。

Q3. 赤外線点検に最適な天気条件は何か?また精度が低下する条件は何か?

A3. 最適条件:晴天・日中・弱風。精度低下条件:曇天・強風・夜間(温度差が生じにくくなるため)。

まとめ

赤外線点検はサーモグラフィカメラで対象物の温度分布を可視化し、肉眼では見えない異常(太陽光パネルのセル不良・外壁の浮き・漏水など)を非破壊で検出する点検手法です。ドローンに搭載することで高所・広面積を足場なしに効率よく点検できます。

最適な実施条件は晴天・日中・弱風であり、曇天・強風・夜間では温度差が生じにくくなり精度が低下します。赤外線カメラはRGBカメラとは異なり、可視光ではなく赤外線(熱)を撮影するカメラです。

関連記事:橋梁点検でのドローン活用ドローン測量とマッピング

参考資料

・測量法(昭和24年法律第188号)

・i-Construction(国土交通省)

・無人航空機の飛行の安全に関する教則(国土交通省 第4版)

この記事を書いた人

ソラタ

30代。二等無人航空機操縦士の技能証明取得を目指して勉強中。学科試験で詰まったポイントを整理してお伝えします。