ソラタ
「飛行前点検って何を見ればいいの?ざっくり外から見るだけじゃダメ?」点検項目と学科試験で出るポイントを整理します。
この記事の要点
機体点検は飛行前・飛行後・定期点検の3段階で行う。プロペラのひび・欠けの確認、モーターの異音・回転の滑らかさ、バッテリーの膨張・残量・接続部などが主な確認項目。
異常を発見したら飛行を中止し、整備または交換することが義務づけられている(航空法第73条の2)。
無人航空機の安全飛行を維持するためには、機体の状態を常に把握しておく必要があります。航空法では無人航空機の飛行前の安全確認を義務づけており、異常が発見された場合は飛行を中止しなければなりません(詳細は国土交通省等の最新情報でご確認ください)。
機体点検は「飛行前点検」「飛行後点検」「定期点検」の3段階があり、それぞれ目的と確認項目が異なります。日頃の丁寧な点検が事故や墜落を未然に防ぐ最大の防衛策です。
一言でいうと、機体点検は「飛行前のドローン健康診断」です。毎回飛ばす前に全身をチェックして、少しでも異常があったら飛行は見合わせる、というルールを守ることが安全への第一歩です。
機体点検は実施タイミングによって3種類に分けられます。
| 点検の種類 | 実施タイミング | 目的 |
|---|---|---|
| 飛行前点検 | 毎回の飛行前 | 飛行可否の最終確認。異常があれば飛行中止を判断 |
| 飛行後点検 | 毎回の飛行後 | 飛行中に発生した傷・損傷の確認。次回飛行への備え |
| 定期点検 | 飛行時間・期間に応じて定期的 | 経年劣化・累積疲労の確認。消耗品交換・整備 |
飛行前点検は毎回必ず行うもので、飛行後点検・定期点検と合わせて機体の健全性を継続的に管理することが重要です。
プロペラは高速回転する部品であり、損傷があると振動・騒音・推力低下・最悪の場合は破損による墜落につながります。以下の項目を目視・手触りで確認します。
| 確認項目 | 異常の見分け方 | 対処 |
|---|---|---|
| ひび・亀裂 | プロペラ全面を目視。光に透かして確認 | 交換 |
| 欠け・チッピング | 翼端・前縁の小さな欠損を確認 | 交換 |
| ゆがみ・曲がり | プロペラを平らな面と比較して確認 | 交換 |
| 取り付けの締め付け | 手で揺すって遊び・緩みがないか確認 | 適切なトルクで締め直す |
| 回転方向の確認 | 機体の指定方向と一致しているか確認 | 付け直す |
プロペラは消耗品です。わずかなひびや欠けでも交換を検討してください。
使用済みプロペラを再利用する際は特に慎重な確認が必要です。
ブラシレスモーターは基本的にメンテナンスフリーですが、異音・発熱・振動などの異常サインに注意が必要です。
| 確認項目 | 確認方法 | 異常のサイン |
|---|---|---|
| 回転の滑らかさ | 手でシャフトをゆっくり回す | ゴリゴリ感・引っかかり→ベアリング損傷の可能性 |
| 異音 | 低速回転時の音を確認 | 異音・ビビリ音→内部異物・ベアリング摩耗 |
| 発熱 | 飛行直後にモーター外周を触って確認 | 触れないほど熱い→過負荷・冷却不足 |
| ガタつき | シャフトを上下左右に動かして確認 | ガタつき→ベアリング損傷・マウント緩み |
| 外観 | 目視でコイル・外周を確認 | 焦げ跡・変色→過電流による損傷 |
LiPoバッテリーは劣化・損傷すると発火・爆発のリスクがあります。バッテリーの点検は特に慎重に行う必要があります。
| 確認項目 | 確認方法 | 異常のサイン |
|---|---|---|
| 膨張(スウェリング) | 目視・手触りでパックの厚みを確認 | パックが膨れている→即廃棄 |
| 接続端子の状態 | 目視でコネクター・端子を確認 | 焦げ・腐食・変形→使用禁止 |
| 残量・セルバランス | バッテリーチェッカーや充電器で確認 | セル間電圧差が大きい→劣化の可能性 |
| 外皮の状態 | 目視でパックのシュリンク・被覆を確認 | 破れ・破損→テープで保護または廃棄 |
| 保管温度・状態 | 保管状況を確認 | 直射日光・高温保管→劣化促進 |
膨張したバッテリーは絶対に使用しないでください。即座に使用を停止し、適切な方法で廃棄します(自治体の廃棄ルールに従う)。
バッテリーの保管方法・交換時期・廃棄方法については、無人航空機の飛行の安全に関する教則(下図)でも注意事項として示されています。
機体フレーム(ボディ・アーム)も定期的に確認が必要です。
| 確認項目 | 確認方法 |
|---|---|
| フレームのひび・割れ | 目視・指で押して変形がないか確認 |
| アームの歪み・変形 | 正面から各アームの角度が均等か確認 |
| ネジの緩み | ドライバーで全ネジを順番に確認 |
| 配線の状態 | 断線・被覆破れ・コネクター外れがないか目視 |
| 着陸脚の状態 | 割れ・ぐらつきがないか確認 |
点検を行った日時・内容・異常の有無・処置内容を記録として残すことが重要です。点検記録はいつ何を確認・整備したかを証明する書類であり、事故が発生した際の調査や、部品の交換時期の管理に役立ちます。
業務用途では法令上の整備記録の保管が求められることもあります(詳細は国土交通省等の最新情報でご確認ください)。
学科試験では「飛行前点検と定期点検の違い」が問われることがあります。飛行前点検は毎回の飛行のたびに行う日常的なチェック(外観確認・動作確認)であるのに対し、定期点検は一定期間や飛行時間ごとに実施する深い整備(消耗品交換・内部確認)です。
頻度と深度が異なる点を整理しておきましょう。
混同しやすい用語
飛行前点検:毎回の飛行前に行う安全確認。外観・バッテリー・プロペラなどを目視・動作確認する。
異常があれば飛行中止。
定期点検:飛行時間の累積や一定期間ごとに行う整備点検。消耗部品(プロペラ・モーターベアリング等)の交換や、飛行前点検では確認しにくい内部の状態確認を行う。
Q1. 機体点検の種類を3つ挙げよ。
A1. 飛行前点検・飛行後点検・定期点検の3種類。
Q2. バッテリーのパックが膨張していた場合、どう対処すべきか?
A2. 使用を即座に停止し、適切な方法で廃棄する(自治体のルールに従う)。膨張したバッテリーは発火・爆発のリスクがあるため絶対に使用しない。
Q3. 飛行前点検でプロペラに小さなひびを発見した場合、どうすべきか?
A3. そのプロペラは使用せず、新品に交換してから飛行する。プロペラのひびは飛行中に破損するリスクがある。
機体点検は飛行前・飛行後・定期の3段階で行い、プロペラ・モーター・バッテリー・フレームの各部位を体系的に確認します。プロペラのひび・欠けは即交換、バッテリーの膨張は即廃棄というルールを徹底することが事故防止の基本です。
飛行前点検は毎回必須であり、異常を発見した場合は飛行を中止する判断が求められます。点検内容を記録として残すことで、整備の管理と事故時の証跡にもなります。
参考資料
・無人航空機の飛行の安全に関する教則(国土交通省 第4版)
・無人航空機操縦者技能証明に係る学科試験の科目について(国土交通省)
※ この記事の制度確認日:2026年5月
学科試験対策|管理人の一言
「プロペラに少しでもひびや欠けがあれば使用しない」「膨張したバッテリーは即廃棄」という点は試験でも実際の運用でも重要です。また「飛行前点検は毎回行う義務がある」「異常を発見したら飛行中止」という原則も押さえてください。
点検記録の保管については法令改正で要件が変わることがあるため、国土交通省の最新情報で確認する習慣をつけましょう。